チーム沖イカ

釣行データ

日時:2018年6月5日 6時00分出船・12時沖上がり
エリア:神奈川県長井・江ノ島沖
天候:晴れ
潮回り:小潮(干潮3時7分、満潮8時5分)
水深:110m前後
船宿:春盛丸

松田竜也の爆乗り注目ポイント

乗りの渋いスルメイカに、
ヤリイカザオと低速巻きで対応

ベイトが豊富すぎる海 ツノに興味を抱かないイカ

朝の釣り場は江ノ島沖

船長に魚探を見せてもらうと小魚の反応でいっぱい

スタートダッシュを決めた小菅さんは4点掛け

 2018年の梅雨、やって来たのはイカ船50年の老舗、長井漆山港「春盛丸」。ここの常連さんはレジェンドと称される凄腕ばかり。しかし沼田孝章船長いわく近年乗ればサオ頭というのが「チーム沖イカHUNTER」の小菅義弘さんと永井秀夫さんである。今回はこの2人も同船してやいのやいのとサオをだす。
 
 梅雨時期の相模湾は西側の小田原、真鶴の沖からムギ混じりでスルメイカの釣果が上向く。長井のイカ船がメインでねらうのは江ノ島沖と長井沖。6時に港を離れると船長は江ノ島方面に舵を切った。
 
 潮色は緑。濁っている。イカが乗る潮色といえば濃紺が有望である。前日の釣果はトップ15ハイと渋く、この日も厳しい展開が予想された。エンジンがバックに入り船長が合図。水深110m。一斉にオモリが飛ぶ。
 
「2日前にもこのエリアで釣りをしたのですが、スルメのお腹にイワシがパンパンに入っていました。こうなるとなかなかツノに飛びつかない。ベイトが多すぎるんです」
 
 そう話すのは小菅さんだ。沼田船長も言う。
 
「イワシの反応が上から下まで満遍なく出ています。濃密な反応の中にイカも入っているはずです」
 
 イカはいる。しかし疑似餌(プラヅノ)は抱かない。こんな時はシケ後で海がリフレッシュした日や、黒雲が垂れたザーザーと雨が降る日に爆乗りがある。うす暗い曇天は終日イカの活性が高いことが多く小菅さんも永井さんも雨が降れば「絶好のスルメ日和」と言う。ただし、船上干しができないのは残念ではある。
 
 さて1流し目は乗らず。流し替えると底付近でサワリが出る。やがて各所で乗り始めた。
 
「シャクんなくていいよ。じっくり巻いてアタリを見て」
 と船長がアナウンス。激しく飛びつかないためシャクって落とす激しいアクションではサワリが取れず、ツノも抱きにくい。ブランコ仕掛けなら話は別だが、直結だとなおのことそうだ。
 

濁り潮の低活性。ジワジワと巻き上げていく中でアタリを拾う

流しっぱなしのモーニングは低速巻きが効果的

小菅さんの直結さばきも実にスピーディーである。イカの年間目標は3000バイ

小菅さんの愛用ロッドは「バイオインパクトX ヤリイカ180」。リールは「ビーストマスター3000XS」

 乗りが渋いことを想定していた小菅さんのサオは私と永井さんとは違った。「バイオインパクトXヤリイカ180」。身切れしやすいヤリイカに特化した細身のサオである。
 
「硬いサオだとツノが動きすぎて乗りを弾いちゃいます。ヤリイカザオでも先調子ではなく胴に乗るモデルがいい」
 
 そう言う小菅さんは実にいやらしい誘いをする。いかにもツノが艶めかしく動いているアクション。そうしてイカを寄せたところでパワーレバーを6~12の低速に入れてジワジワとツノを巻き上げる。その際にイカが乗ればクンと穂先が入る。そこで即アワセを入れて電動レバーのパワーを上げる。
 

鋭く妖艶にツノを動かしてイカを寄せると低速巻きでタナを探る。乗りを察知し引っ掛けると、追い乗せをねらう。それには胴調子のヤリイカザオがマッチすると小菅さん

19本ヅノを操る永井さんは小菅さんと同じくハイパーエキスパート。2017年シーズンは6000バイのイカを釣ったという

私は4点掛けを2連発して数を伸ばした

 スタートダッシュを決めた小菅さんの横で私も底から約30m上までのタナを探ると低速巻きで快調に乗る。船の下にはずっと群れが付いているらしく船長は流し替えない。約40分も定位置である。天候は無風ベタナギで日差しも強い。風が恋しくなるも乗り続けるので熱くなって集中する。乗り方は4本までの多点はあるがそれ以上はない。単発でポツポツと乗る。イカの潮とは思えない濁りだが好調である。想定外の展開だ。
 
 永井さんも釣り方は一緒。だがツノ数が違う。私と小菅さんは14cmヅノを14本で直結仕掛け。永井さんは11cmヅノを19本セットしたロング直結。
 
「ツノ数は多くても単発ばっかり。疲れます(笑)」
 
 とツノを持て余しているようす。永井さんも小菅さんも落とし込みの最中にサワリをいち早く察知する。そうして当たりダナを見つけ爆乗りを演出する神技を繰りだす。が、この日は落とし込み時に反応が出ない。
 
「一瞬通りかかったイカを引っ掛けられるか。それが大事ですね」
 
 と言って永井さんもパワー6~7で低速巻き。タナは底べったりではなく115mの水深で80mラインから反応がある。私と小菅さん、永井さんのヒットパターンは一緒。80mラインでツノを躍らせ、低速巻きで反応を見て70~73mで乗せる。
 
 しかし9時を過ぎてモーニングタイムが終わると乗りは非常にシビアになった。
 

松田竜也の爆乗り注目ポイント
私(松田)の愛用アイテム

この日使用したサオは「ベイゲームⅩイカ直結H150」。さばきやすく乗りを察知しやすい9:1の先調子で誘いやすく、低速巻きの乗りも察知しやすい

愛用の水中ライト。浅場の濁り潮は白いライトで好反応を得られ、深場もしくは澄み潮時は青がよい

「ビーストマスター2000」を使用。3000番のモーターを搭載したコンパクトなハイパワーで浅場中心の梅雨時期のスルメイカ釣りには最適。そしてこの日は低速巻きのスローな誘いで反応を見る。パワーレバー7~12の間で乗りを察知することが多かった

正午から良型連発 夏スルメの前哨戦

「このまま終わりかなあ」
 
 と言うのは右舷ミヨシに座る石田英彦さん。春盛丸の常連さんでツノ手繰りの手際は速い。小型が主体の中なぜか良型ばかりを揃えていた。
 
 スルメイカは朝のうちが時合である。日が高くなるほど反応が遠くなる。江ノ島沖に密集していたイカ船団は散り散りになり、船長も群れを捜し始めた。11時30分の時点でそれぞれ釣果を数えると私が43ハイ、石田さん38ハイ、小菅さん33ハイ、永井さん31ハイである。
 
 正午近くに船は大きく舵を切り、長井沖へ走りだした。すると潮色が緑から濃紺に変わった。ポイントに着くと潮向きも変わり、潮先が石田さんと永井さんが座る右舷ミヨシ側となる。沖上がりまでの残り時間30分ほどで大型スルメの群れを当てると、永井さんがスパークする。長井沖でも激しいシャクリよりはスローな誘いが効果的。全体で2点掛けまでの単発乗りが多いものの、永井さんはドスンとくる良型ばかりを連発させた。
 
「終わり間際に良型スルメじゃ干せないなあ」
 
 と言う永井さんは13時の沖上がりまでに38ハイまで数を伸ばし、小菅さん36、石田さん43、私は47でサオ頭になることができた。30℃に迫る夏の陽気も後半は風が気持ちよかった。しかし雨ならばさらに爆乗りになったと思われる。
 
「まだイカが沿岸の際に寄っているよ。これが沖に出てきたら本番だな」
 
 とは沼田船長。 夏スルメの本格シーズンは間もなくだろう。
 

リーチの長い腕を使ってスピーディーにイカを手繰るのは、春盛丸常連の石田さん

石田さんは川口市在住。良型ばかりをコンスタントに乗せていた

単発ながらコンスタントに乗せる永井さん

永井さん愛用の自作ナワバチ。縁にはスポンジがセットされ、そこにツノを引っ掛けることもできる

私の釣友でリリーフランキー似の岡部尊文さんも快調なペース

正午から長井沖に移ると永井さんがラストスパート。良型を連発させた

船上で簡単! 小菅さんのイカ開き

①漏斗のある裏面、両目の間にナイフを入れてカラストンビに当たるまで押し込む

②漏斗の中に切っ先を立てるようにして身を開く

③内臓の端をつまんで引っ張り出す

④目玉をひっくり返すようにして

⑤両目を取り出す

⑥完成

あっという間に出来上がる船上干しのイカ暖簾

私(松田)は干したイカを持ち帰る際に耐水紙の「グリーンパーチ」を使っている。水気を適度に取ってくれ、べとつかずきれいにイカを保存できる。魚市場などで入手可能


			この日の江ノ島沖は緑の濁り潮。
			イワシの群れが濃すぎるせいかツノへの反応は渋い。
			激しい上下のアクションが効かず、
			底から30mまでを低速巻きで誘うのが有効だった。
			また、ベテランの小菅さんは柔軟なヤリイカザオで
			ソフトに誘い釣果を伸ばした。

			この日の江ノ島沖は緑の濁り潮。
			イワシの群れが濃すぎるせいかツノへの反応は渋い。
			激しい上下のアクションが効かず、
			底から30mまでを低速巻きで誘うのが有効だった。
			また、ベテランの小菅さんは柔軟なヤリイカザオで
			ソフトに誘い釣果を伸ばした。