釣行データ
日時:2018年1月31日 6時出船・12時沖上がり
エリア:神奈川県長井沖
天候:晴れ
潮回り:大潮(干潮10時00分、満潮5時00分)
水深:200~210m前後
船宿:栃木丸
松田竜也の爆乗り注目ポイント
アタリの渋いスルメと小型のヤリ
ベテランの乗せ方に注目!
速潮が差すイカ好調の海へ
ポイントに着くと城ヶ島や房総半島が浮き上がって見える。冷え込んだ朝などに上側に冷たい空気の層、下側に暖かい空気の層ができることで発生する「下位蜃気楼」という現象である
神奈川県長井は当連載2回目の登場である。第1回では長井漆山港光三丸さんの夏のスルメイカ釣りを紹介したが、今回は長井港「栃木丸」さんより1月下旬に出船。近場の長井沖150~210mラインが釣り場になる。
「今年(2018年)はイカが深い。洲ノ崎沖まで走ると反応するのは270m以上。潮が速いと釣りにならず、近場じゃないと厳しいんだよね」
とは船長の栃木拓さん。栃木丸は50年以上もイカ乗合の看板を掲げる老舗。船長は3代目だ。この日は大潮2日目。この潮回りになって長井、小田原、南房と各地の釣果が上向いた。
「イカは速い潮が差してこないと入ってこない。この潮回りでいい潮がきた。スルメが多いのも今期の特徴だね。イカ釣りファンはヤリよりもスルメのほうが好きな人が多い。今日も日が高くなるまでしばらくスルメをねらいますよ。ヤリイカはすでに卵を持ったメスが多くて、いつもより産卵が早いかもしれません」
同行した栃木丸の常連さんは3名。当船宿と30年以上の付き合いという埼玉在住の佐藤計さん、20年以上通う横浜市の柴田暢康さん、イカ歴1年2ヵ月と浅いが、すっかりイカフリークという菊原成徳さんである。
菊原さんはアジ釣りから沖釣りを始めた。1年2ヵ月ほど前に栃木丸でイカ釣りをするとどっぷりとのめり込んだ
「ヤリよりはスルメのほうが楽しいです」とずっしり重い3点掛けを決めた柴田さん
「あまりに乗らないんでブランコに替えました」という佐藤さん。古希を過ぎてなおイカ釣りをバリバリ楽しむ。栃木丸には30年以上通う
松田竜也の爆乗り注目ポイント
私(松田)の愛用アイテム
朝のスルメねらいはカケアガリの絡む170~210mの海底をねらうことが多く、探見丸には好反応が映っていた
愛竿シマノ「IKA7」の165をメインに使用。穂先の感度は素晴らしく小型の乗りも察知しやすい
スルメねらいのマヅメ時や潮が暗い時に効果がある水中ライト
ビーストマスター2000
イカ釣りの基本の構えは写真のようにリールを持つ。サオを持って操作をせず、リールを持って誘いをかけアワセを行なう。なぜならレバーをレスポンスよく操作するため。ゴツいリールよりはコンパクトなほうが取り回しがよい。スルメ・ヤリねらいの電動リールといえば3000番が標準だが、新型「ビーストマスター2000」は同機の3000番のモーターを内蔵している。操作性が高いうえにパワーも3000番なみ。しかも探見丸搭載船であれば海底形状や魚群さえも感知する表示機能付き。
イカ釣りはサオを持つのではなく、レバーを操作しやすいようにリールを持って操作するのが基本
リールに簡易的な魚探機能を搭載。新規探見丸の搭載船であれば水深だけでなく、カケアガリや魚のタナも分かってしまう
コンパクトな2000番。しかし内臓モーターは3000番のハイパワーだ
ヤリイカ用に淡い色を中心に揃えたツノはシマノ「ツレヅレ針」
スルメイカとヤリイカの2パターンの仕掛けを用意しておこう
底付近のタナで繰り返すストロークの長いスローな誘い
私(松田)の投入法
オモリを勢いよく潮上に投げ入れる
投入器から目をそらさず出ていく仕掛けが失速していないかを確認
オモリ着水後はツノの発射角度が下がるため腕を当ててアシストする
まずはスルメねらい。18cmヅノ14本の直結仕掛けをセット。
冬型の気圧配置で北風がビュービュー。気温1℃の非常に寒い朝だ。蜃気楼が見え伊豆大島の三原山は冠雪している。出港から約10分で船は群れを捜し始める。海は濃紺色。いかにもヤリイカが乗りそうな潮色だ。
船長の合図でオモリを投げる。水深200~210m。探見丸を確認すると、なだらかなカケアガリでその際に反応がある。暗い時間帯に私が重宝しているのは水中ライト。青のLEDが入ったもので、スルメねらいに実績が高い。さっそくノリを察知し幸先よく1パイを乗せたが、アタリの出方が非常に渋い。探見丸にはイカらしき反応は濃厚に出ているのだが……。船は何度も旋回して同じラインに入り直す。そのうち菊原さんや柴田さんが乗せる。太い良型が3点、2点と巻き上がる。2人の釣り方はシャクって落としてを繰り返すか、電動リールの低速巻きの誘い上げ。
「サワリが分からない」
と悩んでいたのは佐藤さん。直結では乗せきれないと9本のブランコに仕掛けを張り直して1パイ目。ごく渋い活性の日はスルメも底から浮いてこず、ブランコのほうが有利な場合が多い。
モヤモヤした微かなサワリがあってもクンという分かりやすいアタリが出ない。そこで私は反応のあるタナ、主に底から2~3mを重点的に探ることにした。具体的にはサオを大きくリフトして、オモリを感じながらゆっくりとフォールさせる。これを同じタナで繰り返す。仕掛けを長いストロークで上下したいので愛竿「IKA 7」150Hから165とやや長いロッドに持ち替えてみる。
できる限りのスローな上下動でサオを操作する。仕掛けを動かす中で違和感をとらえて乗せる。特に注視したいのはオモリを感じて落とし込むテンションフォールの最中だ。すると穂先がフッと戻るアタリが出る。これを即アワセで掛けていくと、派手な多点掛けはできないが、1パイもしくは2ハイの単発乗りならポツポツと乗せることが可能になった。
底付近のタナでスローにリフト&テンションフォールを繰り返して小さなアタリを乗せる。ズシンという手応えの後、パワーレバーを前に押し出す
手にツノを束ねる手繰りは、テンションを抜かず落ち着いてツノが重ならないように注意する
浮かない渋いスルメイカをスローに誘って3点掛け
小型のヤリをいかに乗せるか
ヤリイカは小型主体。サワリを察知しても引っ掛けにくい小型ゆえ、電動低速巻きでアタリをそのまま掛けていった
沖上がり間際のクライマックスはヤリイカが好反応!透き通る身が美しい
ヤリイカは型がよければ簡単に乗ると松田さん。後半戦はサイズアップ
やがて船長はヤリイカねらいにシフトした。ツノを11cmのシマノ「ツレヅレ針」9本の直結仕掛けに替えた。ここで幹イトの太さについて解説したい。幹イトの太さがイカの乗りに関係するとは思えないが、太くて腰が強いイトほど仕掛けが絡みにくい。18cmヅノのスルメイカねらいなら10~12号が標準でツノを小さくする時は6~8号とサイズダウン。理由は軽いツノに太い幹イトだとコシが強すぎて投入器の穴に落ちにくくなるからだ。
この日はスルメも底反応だったが、ヤリイカはもっと浮くことがない。底周辺のみで乗る。問題は巻き取りのスピードだ。ヤリイカはスルメイカに比べ触腕が短くパワーも弱い。身も軟らかいため、巻き上げ最中にバレやすい。特に深場で小型を乗せた場合は難易度が高く、巻き上げの途中は乗っているかどうかも半信半疑になる。そしてこの日乗るヤリイカのほとんどが、極めて小型。スルメイカの良型の後で小型ヤリイカにシフトするのは、乗りを察知しにくい。
ヤリイカは良型ほど着底してすぐに乗る。アタリも分かりやすいのだが、小型はシャクリの中でアタリを取っても引っ掛かりにくく、特に直結仕掛けは難しい。小型ばかりの時は軟らかめのサオで、オモリベタ底から低速巻きで誘ったほうが乗るケースが多いのだ。そんな肩のこる小型ばかりが乗っていたが、正午過ぎに良型の反応がよくなった。当連載でヤリイカがテーマになると決まって正午前後に時合がくる。実際、ヤリイカは朝よりも昼間に反応がよくなりがち。
常連さん3人はヤリイカの2点、3点掛けを連発し、クライマックスは盛り上がる。スルメとヤリではヤリイカのほうが多く乗っていた。終わってみれば私はスルメイカ20パイのヤリイカ18パイでサオ頭になれた。2月に入るとヤリイカはラストスパートに突入する。
早春の長井沖でスルメイカとヤリイカがいい感じに乗った
佐藤さんも良型をゲット
菊原さんは小ヤリに苦笑