チーム沖イカ

釣行データ

日時:2017年7月11日 6時00分出船・13時沖上がり
エリア:神奈川県真鶴沖
天候:晴れ
潮回り:中潮(干潮12時18分、満潮5時25)
水深:100~120m前後
船宿:國敏丸

GUEST

露木正敏(つゆき・まさとし)

親子2代で切り盛りする真鶴港「國敏丸」の若船長。松田さんに手繰りを教えた師匠。ヘビメタとプロレスが大好き。父親の國敏大船長も20本ヅノの直結仕掛けを常用する凄腕。

松田竜也の爆乗り注目ポイント

船長親子が技術を牽引。
凄腕ぞろいの「國敏丸」で
手繰りの妙技を見よ!

20本ヅノを操る大船長

合図と同時におもむろにオモリを投げる露木國敏大船長

國敏丸の若女将である森美香さん。大のイカフリークでこの日の1 週間ほど前は106 パイの釣果をあげた

麦わら帽子の下には日焼けした顔。落ち着いた熟練の手繰りでツノをさばき愛嬌もたっぷりな大船長

 今回お世話になる船宿は親子2代で切り盛りする國敏丸。露木正敏船長とは10年来の付き合いだ。私の手繰りの師匠であり直結仕掛けの手さばきは鮮やかで驚異的に速い。今回は正敏船長の親父さん、大船長の國敏さんも同船し一緒にサオをだす。2017年に古希を迎えた大船長も熟練の凄腕。なにしろ20本ヅノの直結仕掛けを常用する。 
 
「ツノ数は多いよ。タナを探るのが面倒だから。俺は手釣りの時代が長くてね。当時からツノ数は20本以上が当たり前。昔の真鶴沖はイカの絨毯で朝から昼まで同じ所だけ流して1人800パイなんて日もあった。ツノの配色? 関係ないよ。手当たりしだいあるやつを上から並べているだけさ」 
 
 大船長の脇にある投入器は筒が3段の大型だ。この船の常連はレベルが高く、釣り座に当たり前のようにあるサオ受けが見られない。手さばき重視の直結派が多いのがその理由だ。 
 
 乗船客は私を含め8名。紅一点のイカフリーク、森美香さんは國敏丸の若女将でもある。 
 
「キンメダイや深場の美味しい魚を釣るのが好きで20代のころから釣り船に乗っています。イカにハマったのは最近で、ブランコ仕掛けから始め、今は直結の釣りがようやくできるようになりました」 
 
 森さんはこの日の1週間ほど前にムギ混じりで106パイという大釣りをした。イカ釣りは食べるのも釣るのも最高に楽しいと言う。
 

イカは引っ掛ける釣り

着底後が勝負の決め手。乗りを察知し追い乗せに集中する私

 午前6時に海上に繰り出すと、早くも強い日差しが照りつける。南西の風がそよそよと吹き、海面は凪ぎ。真鶴沖は空気が澄めば目の前に富士山が大きくそびえる。このロケーションも魅力なのだが、この日はあいにく霞んでいる。真鶴から湯河原にかけての沖合はイワシなどの小魚が滞留しやすい。6月下旬から定置網には毎日ウルメイワシの大型が入り続け、これをエサにするイカや青ものも掛かる。前日には巨大なカジキマグロが水揚げされた。 
 
「イカは乗せるんじゃなくて、引っ掛ける釣り。汚い言葉でいえばブッ刺す釣り。だからアタリを感じるためにイトをすばやく張んなきゃダメ」 
 
 こう話す正敏船長の教えを受ける森さんは中オモリ40号を使用する。理由は落とし込み直後にミチイトを素早く真っすぐ張るため。また中オモリがあることで仕掛けも動きやすい。、周囲は大船長をはじめ、常連のほとんどが同号数の中オモリをセットしている。ツノのサイズは14cmが基本でツノ数は15~20本の人が多い。 
 
 目指すポイントは真鶴南沖の水深100~150m。 
 
「スルメのタナはかなり上層まで浮くこともあるけど、南沖のタナはだいたい底周辺だな。イカ船はフットワークが軽くねえとできない。息子は高校を出てすぐ船頭になってイカ船を任せている」 
 
 とは大船長。合図と同時におもむろにオモリを放ち着底に集中する。着底一発目の乗りを期待するも不発。さっそく乗せたのは森さんだった。単発ではあるものの元気よく水鉄砲を吹くスルメイカが取り込まれる。2流し目で船長は大きな群れを当て、各所で電動リールの甲高いモーター音が響く。私も幸先のよい6点掛け。船内各所でゾロゾロとスルメが舞い上がっている。 
 

「13本は手に持てる」と言う大船長。ツノを手に絡ませずに束ねていく

森さんも手際よくスルメイカを取り込んでいく

 大船長の20本ヅノの手繰りを見ると、テンションを緩めないように、慌てず丁寧に上部の7~8本は投入器に入れる。「13本くらいのツノなら手に持てる」と言って、残りは手に束ねていく。イカが付いていれば、幹イトを引きながらカンナを下に向けるようにして船内に入れる。 
 
 大船長の手繰りも淀みないが、輪を掛けてすごいのが正敏船長だ。森さんに手繰りの手本を見せる場面があったが、10本のツノを落ち着いて手に束ねると、再びオモリを落として送り出す手際が凄い。片手に束ねたツノを、手首を返すだけで1本1本パラパラと送り込む。そして「イカ釣りはスピードが命だかんね」と涼しく言う。 
 
 手繰りで手前マツリを防ぐ最大のキモはイトをクロスさせないことだ。私の場合は「縄鉢」と呼ばれる、手釣り時代に使われていた縄置きマットを愛用し、上部の7本ヅノくらいはその中に投げ入れ、それから手に束ねていく。いずれもイトが交差しないように順番に手繰るのがキモになる。 

 

松田竜也の爆乗り注目ポイント

 

大船長の愛用リールはシマノ「フォースマスター3000」。パワーとスピード、操作性ともに申し分ないという

森さんや大船長が必ず付ける中オモリは30~40号が標準

 

私(松田)の愛用アイテム

ツノの配色パターン。「基本は適当です。上と下にピンクを1 本混ぜていて、淡い色が好みですね」と話す

常連さんが必ず混ぜるというグリーンのツノ

直結仕掛けで重宝している縄鉢(ナワバチ)は手釣り時代のアイテム。本来は手釣り用のミチイトを束ねるものだが、松田さんは取り込みの際、上部のツノが重ならないようにこの中に散らして入れ、手に持てる本数になったところで手の中でツノを束ねる

追い乗せを誘うレバー調整

大船長の4点掛け。ポツポツとした乗りがダラダラと続いた1日であった

私はといえば、この日は6点掛けを2連発。単発のアタリも調子よく乗せることができ、この日のサオ頭を頂戴した

 日が高くなってからは単発乗りがダラダラと続く。活性のよいイカは底から大きく立ち上がる魚探反応が見られるが、この日は底から10mの辺りに小さくかたまる反応ばかり。 
 
 大船長は1 パイでも多く乗せようと追い乗せの掛け引きをする。愛用の電動リールはシマノ「フォースマスター3000」。テクニカルレバーのスピード調整で追い乗せを誘うその姿は、まるでイカと対話をしているようにも見える。 
 
 追い乗せを誘う巻き上げ速度は状況によって異なる。が、シマノのリールならテクニカルレバーの5~15目盛りの間で調整することがほとんど。乗りがよい時は少し早めに巻くし、良型が何バイも付いた時は当然パワーが必要なのでスピードも速くする。 
 
 正敏船長の見切りは早い。1投目が勝負である。誘いのパターンはさまざまだが、シャクっては落としてリールを一巻きしつつ再度シャクって静止。この時アタリを見るのが基本形。もうひとつはシャクリを入れず、低速巻きや手巻きでジワジワとタナを探る。この日はシャクリとフォールを繰り返すメリハリを付けた誘いのほうが乗りはよく、終了1時間前ににわかに盛り上がる。森さんが2点掛けを連発し、大船長は4点掛け。私もポツポツ乗って、終わってみれば28パイでサオ頭になることができた。
 
真鶴南沖のタナは底周辺であることが多く、着底直後の乗りを察知したい。
				そのため底まで届けた直後に素早くイトを張るため中オモリ40号をセットする常連が多い。
				また、釣果を伸ばすためにはスムーズな仕掛け回収と再投入が何よりも重要。
				「イカ釣りはスピードが命」という正敏船長のように、イトを交差させず素早く手繰る技術を身につけたい
真鶴南沖のタナは底周辺であることが多く、着底直後の乗りを察知したい。
				そのため底まで届けた直後に素早くイトを張るため中オモリ40号をセットする常連が多い。
				また、釣果を伸ばすためにはスムーズな仕掛け回収と再投入が何よりも重要。
				「イカ釣りはスピードが命」という正敏船長のように、イトを交差させず素早く手繰る技術を身につけたい