チーム沖イカ

釣行データ

日時:2017年2月7日 6時出船・13時沖上がり
エリア:千葉県洲崎沖
天候:晴れ
潮回り:若潮(干潮7時33分、満潮13時00分)
水深:180m前後
船宿:萬栄丸

GUEST

久保田誠一(くぼた・せいいち)

一年を通じて勝山港に通うイカフリークで週末は泊りがけで釣行するほど。
直結仕掛けの釣りを好むがブランコ仕掛けも巧みに操りサオ頭の常連となっている。

松田竜也の爆乗り注目ポイント

レッドヘッドのコマセスッテと
重めの中オモリで低活性を攻略

直結名手に魅せられて

朝イチの流しではオモリを握る手にも力が入る

空気の澄んだ早春は富士山を借景にサオをだせる

勝山港は内房エリア屈指のイカ船基地である。お世話になった萬栄丸はヤリ、スルメ、マルと周年イカ乗合の看板を掲げ、常宿にするエキスパートも数知れない。千葉県市川市に住む久保田誠一さんもそのひとり。イカ歴13年、初めて乗った萬栄丸でスルメの名手に魅せられた。直結仕掛けのすばやい手返し、数を乗せる奥深さにハマり、週末は泊まりがけで通い込む。
 
早春の主役はヤリイカ。萬栄丸がねらう主なポイントは洲崎から白浜にかけての海域だ。状況はよい日並でトップ30パイ前後。2月上旬、久保田さんと訪れたこの日は北西の爆風が吹き荒れた翌日。ウネリが残り寒風も強烈だった。
 
「シケた日によい思いをしたことはありませんが、海はだんだん凪いでくる予報です。なんとか乗ってくれると思いますよ(笑)」
 
と久保田さん。シケの日に乗りが悪い要因のひとつは、船が上下にバタつくため乗りを察知しにくいこと。また乗せても外れやすいことにある。

コマセスッテと中オモリ

最初の本命は久保田さんのテッパンスッテに腕一本で乗って来た

直結仕掛けでの取り込みはテンションを常に掛け、手早く行なう

ウネリが残った朝のうち、渋い状況の中私にもようやくアタリ。追い乗せに集中する

「直結仕掛けのほうが楽しいです。でも、シケるとバラシが頻発します。今日はブランコ仕掛けでやってみます」
 
ブランコ仕掛けは幹イトから枝スを出してツノを結束。バラシが少なく低活性時も乗りやすい。一方の直結仕掛けは幹イトにツノを結び付ける。高感度でサバが掛かってもすぐに外れるのが利点だ。ただし、取り込みが難しい。イカを乗せてからはテンションを緩めずに取り込むのがキモ。テンションが抜け、オモリが落ちると外れてしまう。
 
久保田さんはブランコ用という1.95mのヤリイカザオをセット。そのほかに用意していたのが直結用1.75m。スルメ用硬調1.5m。萬栄丸は朝イチにスルメをねらうこともあるからだ。ヤリイカの専用ロッドはスルメに比べ軟らかい7:3もしくは8:2の調子である。ブランコ仕掛けの場合、腕一本で掛かることも多い。サオはある程度長めのリーチがあったほうが曲がりやすくバラシを防ぐ。
 
久保田さんのツノ数は12本。
 
「こだわりといえば、下から2つ目と上から4つ目にコマセスッテを混ぜていることです。黄色のハダカにガス糸を巻き付けたレッドヘッドのスッテ。かなりの高確率で乗ってくる私のテッパンです。これに乗せるイメージで操作しています」
 
スッテのほか、ツノは11cm。ヤリイカねらいの定番サイズ。パラソルが混じるときは14cmも混ぜるそうで、種類は「カラフル」と呼ばれる南房では高実績なプラヅノだ。
 
ブランコの枝スは3号16cmと長め。幹イトは8号。ツノ間隔は120cmである。30号と重めの中オモリを付けているのも特徴といえる。
 
「中オモリはオモリベタ底でもツノを動かしやすく、四隅に座れた時はツノ3本くらいを底に這わせるハワセの釣りもできます。たるませてからピンと張れば、ビヨーンと中オモリが揺れてアピール度が高いと考えます。それとツノを投入器に収納した後で、移動時など風で幹イトが吹き上がりやすく、こうなると投入器からツノが飛び出て手前マツリをすることがあります。こんな時も中オモリがあれば重石になって幹イトが遊ばない。トラブルが軽減されるのです」

松田竜也の爆乗り注目ポイント

 

愛用リールはシマノ「フォースマスター1000」。手持ち操作を軽快にする小型ながら「MUTEKI MOTOR+」の採用でスルメイカの多点掛けにも対応する。3000番クラスに並ぶパワーを秘める。0.5g程度の小さな負荷でも滑らかにスプールが回転する「スーパーフリースプール」搭載でイト落ちが素晴らしく速い

中オモリは30号。潮が動かず低活性の状況下オモリベタ底の釣りで威力を発揮

この日使ったブランコ仕掛けは12本。連日のように100ハイ超えが出た2015年の爆乗り時は18本ヅノを使っていたそうだ

 

ロッドはシマノ「ベイゲームX YARIIKA175」。8:2調子で操作性とパワーのベストバランスを追及したオールラウンドタイプ。直結~ブランコ仕掛けまで幅広く対応する。リールは「ビーストマスター3000XS」。パワー重視のXPとスピード重視のXSがあるが、手返しの釣りといわれるヤリイカ釣りではスピード重視の3000XSが適している

シマノの新作ロッドスタンド「ブイホルダー」。万力とは別にあるV字状のスタンドが船べりに密着し安定感に優れる。スルメイカの多点掛けなど、高負荷のかかる状況下もロッドがグラつかない。収納時はV字の足をたためてコンパクトに収納でき、ホルダー前部を起こすと首を振るのも便利

ベイゲームX YARIIKA175の穂先は短めのグラスソリッド。繊細なサワリを弾かず伝え、バラシを防ぐクッション性にも優れる

直結仕掛けは幹イトのプラヅノ直結部がダブルにする。ここに張りが生まれることでイト絡みを軽減する

低活性を攻略する

紺碧の海に透き通る身のヤリイカ。海況が穏やかになると徐々にアタリは増えていく

クライマックスで久保田さんは多点掛けを連発

勝山から洲崎沖までの航行は約40分。ポイント付近に到着すると船は旋回。イカの群れを捜し出す。エンジンが唸りを上げて停止し、船首を風上に向けたところで合図。
 
「水深182m。底付近」
 
と岩崎一好船長。オモリが一斉に放たれる。久保田さんの誘いを観察しているといくつかのパターンがある。
 
1、オモリが着底。少し反応を見てから、10m上層まで数回シャクリ上げて探る。
 
2、オモリを底から1.5mほど切って、そのタナをキープして3回くらいシャクっては反応を見る。
 
3、シャクリを入れずにゆっくりとリールをただ巻きする。
 
4、手巻きで2mほど巻いてからストンと落とすフォールの誘い。
 
しかしこの日のイカは極めて反応が渋かった。朝一番に上がったのはスルメイカ。「直結しかやりません」と言う久保田さんの釣友、長澤康太郎さんが乗せた。その後もスルメはポツポツと上がるもヤリイカが姿を現わさない。本命が乗り始めたのは8時40分だった。
 
「これがヤリならいくつか付いていますね」
 
と久保田さんに手応えあり。電動リールの巻き上げ速度はかなりの低速だ。長めの枝スにしているので触腕のみに掛かりやすい。バラシを軽減するための低速である。水面まで来ると浮上したのはヤリイカだ。良型の3点掛けである。
 
その少し後で私のサオにもヤリイカが乗った。小さなアタリを拾っては、少しずつ数を伸ばす。正午近くになって左舷がにわかに騒がしくなる。イカ釣り初心者のお客さんが次々に多点掛けをしているのだ。中には6点掛けもあって盛り上がっている。しかし私と久保田さんが座る右舷ミヨシ周辺は1パイずつの拾い釣りばかり。数を一気には伸ばせない。
 
「船長の話では、最近は沖上がり直前にピークがあるそうですよ」
 
そう久保田さんが言うとおり13時の沖上がりが迫るころ着底一発のアタリが出た。久保田さんは底から1.5mのタナで粘って追い乗せ。私は低速巻きで追い乗せを誘った。やがてサオがズッシリと重くなる。速く巻き上げすぎないようにレバーを調整。1パイ、2ハイ、3ハイ……。水鉄砲を吹きながらゾロゾロとヤリイカが上がる。その数6点。久保田さんを見れば同じ数を取り込んでいた。そして「最後の流し」のアナウンス。ここでも久保田さんは3ハイを追加し、釣果19ハイで見事サオ頭になった。
 
「クライマックスで盛り上がってよかったです。渋い1日でも最後にバンバン乗ってくるとまた来たくなるんですよね(笑)」
 
と久保田さん。私も全く同感である。
 
 
 
早春の内房でメインターゲットとなるのはヤリイカだ。
				2月上旬、萬栄丸サオ頭常連の久保田誠一さんは12本ヅノのブランコ仕掛けでチャレンジ。
				こだわりは2つのコマセスッテを混ぜること。
				また、30号という重めの中オモリをセットすることでオモリベタ底時も誘いがしやすい。
早春の内房でメインターゲットとなるのはヤリイカだ。
				2月上旬、萬栄丸サオ頭常連の久保田誠一さんは12本ヅノのブランコ仕掛けでチャレンジ。
				こだわりは2つのコマセスッテを混ぜること。
				また、30号という重めの中オモリをセットすることでオモリベタ底時も誘いがしやすい。