さらに遠くへ、より正確に、もっと投げやすく!!投竿選びの基礎知識

知っておくべき細部のこだわり

COLUMN20 飛距離をのばすブランクスの基本構造

カーボン素材の良し悪しがロッド性能のセールスポイントとして喧伝されることも多いですが、実際のところ各モデルの価格帯によって使用素材の幅は限られています。大切なのはどのような形でマテリアルの性能を最大限に引き出すかということであり、そのためにシマノの投竿ではハイパワーX、スパイラルXという独創的な基本構造を採用しています。

全領域でパワーを生むハイパワーX

ハイパワーXとは、見た目にもおわかりの通りブランクス最外層にカーボンテープをX状に巻き付けて、さらにネジレを抑制する強化構造です。45度前後のテープの交差角度によって、わずかな荷重がかかる状態から限界に近い領域までパワーを発揮する構造で、キャスターのイメージ通りに竿の曲がりの方向性をキープするのが特色です。

限界領域を広げるスパイラルX

スパイラルXは、ロッド縦繊維の内層と外層にカーボンテープをそれぞれ逆方向斜めに密巻きした三層構造。従来の横繊維に替わる内外の斜め繊維により、重量を増すことなくネジリ剛性を高めます。

その特徴はベリーからバット部が曲がり始めるレベルの高荷重時から効力を発揮し、ハイパワーXでは制御しきれない最大パワーがかかる領域でも十分なネジリ剛性、つぶれ剛性を確保すること。これによりコントロールされた超遠投を可能にします。

目的は軽量でパワフルなロッドの追求

投竿にハイパワーX、スパイラルXを採用する最大のメリットは、いたずらに多くのマテリアルを使うことなく構造からロッドを強化することで、遠投に必要なパワーと強度をバランスよく実現できるところにあります。そのため適材適所のバランス設計を重視して、大きな荷重がかからない1番(MAXパワーがかかる前にのびるセクション)にはハイパワーXのみを用いています。

また、スパイラルXに関しては内層と外層に用いるカーボンテープの設定(スペックの変更)によってブランクスのパワーの出方を調整することも可能です。この構造によって今後のロッド設計の可能性も大きく広がっています。