
STモデル(ストリップモデル)のロッドにガイドを装着するキャスターの間では「スパイン」が話題になることが多いものです。スパインとは「背骨」という意味の英語。釣竿の場合、製造工程において、ブランクスの円周方向に非対称な部分ができた結果、ブランクスの曲がる方向によって、硬さの違いができる、いわゆるスパインが形成され、その存在はロッドのパフォーマンスに影響を与えます。このためロッドの性能を最大限に引き出すにはスパインを意識したガイドのセッティングが必要になるのです。
カーボンロッドのブランクスは芯金にカーボン繊維を布状にまとめたもの(カーボンクロス)を巻き付けて焼成します。この過程でカーボンクロスの端がくる位置によって他よりわずかながら厚い部分、薄い部分が生じ、それがスパインの形成につながります。
鮎竿のように肉厚が非常に薄く、なおかつ各セクションのテーパーが緩やかな構造のロッドでは竿身に対して比較的まっすぐにスパインが入る可能性もありますが、肉厚でテーパーのきつい投竿ではクロスの端の位置が一定方向になることはまずありません。また、クロスを巻かないで作成するカーボンソリッドにもスパインが存在するなど、その成り立ちにはブランクスにおける繊維の密度や分布といった複雑な要素が関係しており、スパインの位置は完成したブランクスを曲げてみないことにはわかりません。
スパインの位置を知る方法は写真の通り。穂先の下部を30度程度の角度で床などに押し当てて軽く曲げ(ロッドを傷付けないようご注意下さい)、最も落ち着く(安定する)ところで上を向いた面がブランクスの柔らかい方向、また、横を向いた面(柔かい方向の両サイド)がブランクスの硬い方向となります。
なお、スパインの位置をチェックするのは1番(穂先)だけで十分でしょう。2番、3番にもスパインは存在しますが、その位置はほとんどわからないレベルのもので、キャストフィールや遠投性に影響を与えるほど場所によるブランクスの硬さの違いはありません。