東京湾金沢八景出船
新しい釣法として注目された東京湾のテンヤタチウオ。すっかり定着した感はあるが、浅場の群れが散ってしまい現在は小休止。より水温が低下して魚が塊になり、集まれば再びヒートアップするだろう。11月上旬、シマノフィールドテスター 松本圭一さんが東京湾金沢八景から釣行。
扱いやすい専用竿に活路
出船前に船長からエサ付けや誘いについてレクチャーがある。自信がない人は必ず聞いておきたい。午前7時に出船すると、走水沖のタナ50~60mのポイントへ。探見丸に魚の反応は映るが、はたしてアタックしてくるだろうか?基本の誘いは下記の3種類。
(1)ただ巻き
(2)ストップ&ゴー
(3)ジャーク
松本さんは(3)を基本に戦略を組み立てていった。
「東京湾は関西方面とは違って、タチウオの泳層がとても狭いのが特徴です。それぞれの地域に合った誘い方をすることが重要ですね。関西とは魚の数も違いますから、関東らしい“掛けにいく釣り”を意識していきましょう」
のコメントが出た。狭いタナの限られた魚を丁寧に誘わないと数が伸びていかないという訳だ。目安は「1mに3~4アクション」で、かなり細かく動かすことになる。そのため、当日は小さな動きでもテンヤが確実に動く硬い竿「 」をセレクト。これをメインに「 」と「 」を持ち込み、魚の様子を見ながら使い分けた。
時合い逃さぬ集中力で
勝負あり!
はりきって竿を出すが、予想通りの激シブ状態。時折あるコツッのわずかなアタリが救いだ。松本さんはシャクる幅を変えたり置き竿によるただ巻きを試したりと奮闘するが顔を見ることはできない。
「どう攻めたら掛かるのか分からないし、迷うけれど…。こんな時は自分の釣りに徹することが大切」
と語る松本さんに海の女神はほほ笑んでくれた。
「そろそろ魚をとらないとね」
と話していた午前10時過ぎに前アタリ。そのまま3回のアタックがあり、4回目でフッキング。無事に90cm超えを仕留めた。松本さんは「ホッとしたよ」と笑いながら、その後の30分間で3連続。
時合いだったのかその30分間以外は魚の反応が極端に悪く、船中で型を見るのがやっとの状態が続いた。
「アタリがない時間帯でも集中は切らさないようにしていました」
と言う松本さん。油断せぬ集中力が一瞬の時合いを逃さなかった、技ありの4尾だった。
「誘い上げて前アタリ、それで掛からなくてもスッと落とせば喰ってくる。“やっぱりここにいたんだな”という、そんな駆け引きがテンヤタチウオの面白さですね。魚と会話しているような気がしてくるのが魅力です」
今後も目が離せない東京湾のテンヤタチウオ。冬季のチャンスに向けて今から準備しておこう。