まだまだ冷え込みが続く1月中旬。
早春の好ターゲット「メバル」を求めて西よりの風が強く吹く雨上がりの紀淡海峡へと向かう。
夜明け前に出船した二人の釣果はいかに…。
ひとあし早いメバル釣行
暖かい潮が差す好釣り場は
夜明け前後がチャンス
大阪湾を取り囲む3つの海峡といえば、西から明石海峡、鳴門海峡、紀淡海峡である。そして、この3つの海峡に相前後して春を告げる魚といえば、くりくり目玉が愛らしいメバルである。メバルは体のわりに目が大きく、その目が張り出したように見えることから、「目が張る」が眼張と呼ばれるようになったそうだ。
春を告げる魚といわれる通り早春から釣れ始めるが、早春は産卵の季節でもあるので、子孫繁栄を優先してそっとしておいてやりたいものだ。そして、産卵を終え瀬戸内海の名産でもあるイカナゴを飽食して体力も気力も回復した陽春の季節のメバルこそが、釣って面白く食べて美味しいのである。
とはいっても、あちこちからメバルの便りが聞こえ始めると、気もそぞろになるのは釣り人の性なのである。そこで今年も陽春の季節まで待てずに釣りの計画を立ててしまった。相棒はもちろんこのコーナーでペアを組む阪本智子さんである。
冒頭で紹介した3つの海峡の中で、いち早くメバルが釣れ出すのは、紀伊水道から暖かい潮が差すこともあって水温の上がるのが早い紀淡海峡である。海峡を塞ぐかのように立ちはだかる友ヶ島の周りにメバルの好ポイントが点在するのだが、外洋の影響を受けるせいかブルーバックのクロメバルが多いのが特徴だ。
夜明け前後の一時に喰いが立つことが多いので、出船は夜明け前の午前5時。この日も定刻に河岸払いした。港を抜けると面舵いっぱい、船は加太ノ瀬戸目指して走り出したが、すぐにエンジンの回転が落ちポイントに到着した
数は少ないが良型があがっている
という事前情報
期待通りの時間に竿が曲がる
漆黒の闇の中、対岸の山の頂にある休暇村 紀州加太の明かりだけが瞬いている。波は大したことはないが、たっぷりと冷気を含んだ西寄りの風が強い。
今シーズンのメバルは、爆釣こそ少ないものの釣れたら良型が多く、25cmを超える大型も珍しくないそうだ。そんな話を聞いていたので今回の竿は、「バイオインパクトX メバル M360」を用意してきた。長さは3.6mもあるのに重さは僅か129gと軽く、細身なので竿が降りやすいのだ。竿先は喰い込みがいいように磯竿のように細く、持ち前の粘り腰で大型が掛かっても竿が魚を浮かせてくれるから釣りやすいのも特徴だ。
竿をセットしたあと胴突き5本バリの仕掛けを用意した。仲乗りさんのアドバイスに従って上2本のハリに緑色のワームを刺し、残りのハリに尾羽を切り取ったシラサエビの超小型を刺した。
時々底を取り直しながらメバルが喰いだすのを待ったが、どうやら時合いは薄明時らしい。加太ノ瀬戸から中ノ瀬戸寄りにポイントを変えたとき、ようやく時合いがやって来た。僕より先に智ちゃんが竿を曲げるのはお決まりのパターンだが、良型を取り込むのを羨ましげに見ていたら、幸運にも僕の竿も舞い込んだ。
最初のモゾモゾは数回だけで、すぐに最初のひとのしがやってくる。これを凌ぐとあとは気持ちよく締め込んでくるのを楽しみながら巻けばいいのだ。上がったメバルはいずれも20cmを超えている。次は25cmが目標だと大見得を切った時ほど釣れないのだが…。
薄明どきの時合いは、あっという間に終わった。日が昇り周りが明るくなるにつれてメバルの喰いも遠のいていった。といっても釣れないのは我々だけで、仕掛けに工夫を凝らし、釣り慣れた常連さんたちはポツポツと上げる。その成果が出て竿頭は15匹という釣果を叩き出していた。まさに脱帽です。