手水すら打たない「作りっぱなし」の状態で、エサのサイズと圧だけ微妙に変えながら釣り進んでいく吉田。
「ポイントは230ccという水の量で、200ccとかだとちょっと硬いと思います。あと、エサ的には『GD』がカギになっていますね。このエサを少量ブレンドすると、上層でのエサの開きを抑えつつタナに届いた直後から膨らんで、喰い気を刺激するエサに仕上がります。ただ注意すべきは『入れ過ぎない』という点。『GD』を入れ過ぎるとタナに届いた後に玉の状態が強くなり過ぎて、アタらないか、アタってもカラになることがあります。僕の感覚としては、今のところ100ccがちょうどいい感じですね」
「手直しゼロ」のエサを小気味いいテンポで打ち切りながら、ウキが立ち、スッと先端2目盛まで深ナジミしたところで「スタッ!」と消える豪快なアタリで大型を連発していくという「魔法」のような釣りを展開していく吉田。久しぶりの筑波湖ということも聞いていたので、正直、ここまで釣るとは思わなかった。周囲を圧倒するペースだ。
「『鉾』の短竿はしなやかさより『強さ』が前面に出てくる感覚で、頼もしさがありますね。キロアップの大型を掛けても何の不安もありませんよ。」
昼食休憩の11時までに50枚に到達。圧倒的。桟橋でお弁当を頂いた後は、いよいよ楽しみにしていた16.5だ。
竿とウキ(ボディ12cm)以外は9の時とまったく同じセッティングで入った吉田。最初の30分はアタリが遠く、ノーカウント。やはりまだタナは高めなのかとも感じられたが、吉田は根気強くエサをタナに届け続ける。そして、「これでダメなら少し竿を短くするか…」と感じ始めたあたりで、ジワジワとウケとサワリが増え始める。
「いいですね。釣れますよ、これ。」
チョウチンらしく、ジワジワと増え始める魚の気配。そしてその雰囲気から、吉田はかなりの大型だと察知していた。
すかさずウキをボディ13.5cmにサイズアップ。同時にハリスを40-50cmに伸ばしてバランスを整える。
“スタッ!”
サワリを伴いながら深くナジんだ刹那、豪快な消し込みが出現。
9と同じ動きで、9の時とは明らかに雰囲気が違う大型、「バコべら」が釣れ始めたのだ。
「これこれ、このへらを釣りに来たんですよ! 『鉾』の16.5もいいですね。9よりしなやかさを感じますが、元がしっかりしているので、大型も沖で浮きます」
思わず「ここは印旛か!?いや筑波湖だ!」と叫びたくなるような驚きの大型が連発。終了の15時30分までコンスタントに「鉾」を曲げ続け、トータル80枚の楽しい1日が幕を閉じたのである。