今から20年以上前、二代目「飛天弓 閃光」である通称「レインボー」が出た時の衝撃は、今でも忘れることが出来ない。そして相当無理をして何とか釣具店で21尺を買い求め、初めて釣り場で振った時の感動もまた、格別だった。
玉虫色に輝くレインボーカラーは今見ても十分斬新だし、太陽光線によって見え方が違うのもまた、素晴らしかった。
そして何より、とにかく軽かった。
それまでの長竿というのは、「重さを我慢して振る竿」という域から脱することが出来ないでいたが、「レインボー」はその常識を完全に破った。さらに凄かったのは、ただ軽いだけでなくシャンとした張りがあって、「普通に使える竿」だったことも大きい。
その後、「閃光」シリーズは「G」、「R」、「X」…と着実に進化を遂げ、現行モデルではよりきめ細かくユーザーの要望に応えるため、ついに二分化。「軽さと強さを共存させる」という矛盾するテーマから一気に解放され、軽さの「飛天弓 閃光L」と、パワーの「飛天弓 閃光P」となって今に至る。
「基本は『L』ですね。軽さ重視といっても、完全に軽さだけに振り切っているわけではなく、ちゃんと脈々と続く閃光シリーズの伝統を受け継いでいて、軽さと強さが両立している隙のない竿になっていると思います。調子のイメージとしては、先調子気味だった『X』と胴調子気味だった『R』のいいとこ取りといった感じで、シャンとして操作性が良く、魚が掛かればちゃんと曲がって浮かせてくる、という感じです。とにかく今、『軽量長尺を買おう』と思ったら、まずはこの『飛天弓 閃光L』で間違いないでしょう。
じゃあ『飛天弓 閃光P』はどうかというと、シチュエーションとしては、管理釣り場ならばこれからの夏や新べらのシーズン、ペレ宙やペレ底など、大型相手のパワー系の釣りなどには最高でしょう。また野釣りや巨べら釣りでも、『ボーダレスではちょっとゴツ過ぎるかなぁ』という人にもいいと思います。ボートフィッシングのチョーチンなんかでも、軽さより強めの竿を好む方にはいいでしょう。」
「閃光L&P」の使い分けのアドバイスに加え、吉田さんはもうひとつ意外な竿を挙げ、いかにも「らしい」使い分けを紹介してくれた。そこで登場したのが「翼」だった。
「もうけっこう古い竿になってしまいましたが、『翼』って実は凄い竿なんですよ。何が凄いかというと、その振り込み性能なんです。具体的に言うと、『閃光L』も十分に素晴らしいんですが、『翼』の方が少しだけしなやかなんですね。なので、たとえば長竿の浅ダナ等で、しかもかなり渋い状況で、落とし込みを1投もミスれないような時、僕は『翼』を選ぶんです。絶対的なパワーは『L』や『P』に負けますが、あの小ウキがスーっとストレスなく飛んでいく感覚は、『翼』ならでは。その名前のとおり、羽が生えたかのように仕掛けが飛び、ピンポイントな落とし込みが決まるんです。なので、長竿の浅ダナをやる時、『飛天弓 閃光L』の他に必ず竿ケースに忍ばせてあるのが、この“振り込み番長”の『翼』なんですよね。」